Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

正月十五日の日待ちの日であった。小雨の降るのに自分はまた新兵衛の家に遊びに行った。いつも来てる近所の者もいず、子供達もいなくて、ただ新兵衛夫婦ばかり、つくねんと炉端にすわっていた。女房は自分が上がりはなに立ったのを目で迎えて、意味ありげに笑った。自分はそれをすぐに自分の思う意味に解して笑いこたえた。

「鉄っさんたまにゃ菓子くれい買って来てもよかねいかい。」

女房はさらにくすぐるように笑ってそういった。

「そうだっけねい、そっだら買って来べい。」

「鉄っさんじょうだんだよ。」といった女房の声をあとにして自分はすぐに菓子を一袋買って来た。

「じょうだんをいえばすぐほんとにして、鉄っさんはほんとに正直者だねい。」

女房が新兵衛と顔を見合わせて笑うようすは、直覚的に自分の満足をそそるのであった。鉄瓶の口から湯気の吹くのを見て女房は「今つれて来てあげるからね。」と笑いながらたった。自分は非常にうれしくまた非常にきまりが悪く「あにつれてくっのかい。」自分はわかりきっていながら、われしらずそういった。

「あんだいせっかく湯がわいたのに茶も入れずに行っちまいやがって。」