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Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

それでもみ篶子に送る絵はがきの選択には銭も時間も惜しくなかった。

こういう調子でこのごろ矢野の下宿生活は寂しいものではない。大木から軸物など借りてきて、秋草の花を瓶にさし、静かにひとりを楽しむ事もあった。

ようやく本業の学問にも興味を持ち、金井博士の教授振りが大いに気にいって学校へ出るのもおもしろくなった。その間には歌もたくさんできて、某々雑誌へ掲げたうちには恋の歌が多い。

まがつみの世にあることも知らぬげに匂える君を思いつつぞ寝る

天つ日のめぐみに動き含みたる君が面わしいめに見えつも

いかにも可憐な歌で非常におもしろい。矢野の清らかな人品がよく現われている。ただなんとなくひ弱くはかなげなるは、どうしても病を持てる人のものと思われて哀れが深い。大木はこの歌を読んでこれは空想の歌ではない、矢野は恋人があるなと気づいて、独り目をうるおした。矢野が病の外に恋を持っているとなれば、悲しむべき運命に会うた時に、いっそうその悲惨を深くすべきを思うたからである。

九月十月の二た月は矢野もすこぶる元気よく経過し、体力のやや回復したにつれて、内心の不安もいつとなし薄らぎ、血色などもよほどよくなった。