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Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

このぶんで今年の冬を無事に経過し得ればたしかなものだと、人もそう思い自分もそう思うた。けれどもこれは空頼みであった。

十一月天長節日曜と続いたを幸いに矢野は、中島木島らと、日光の紅葉狩りに行った。つぎの日曜に矢野は歌をたくさん作って大木を訪ねる。歌は恋の歌より振わなかった。大木は「日光へ行くなどと少し無法じゃないか。」と小言をいう。矢野は元気よく「なにだいじょうぶです。」と答えたものの、じつは帰った翌日あたりから、寝汗をかくようになった。二日ばかり休んで歌など作ってるうちに、よくなったからこの日さっそく大木を訪問したのである。大木は時候の変化する際であるから、じゅうぶんに気をつけないといけないと注意した。

それから、五六日過ぎて矢野は、自分のほうの講義がすんでから、二三の同級生がさそうままに、解剖室を見に行った。矢野は医学生ながら解剖というものを始めて見るので、なんとなく気味が悪い。あれが解剖室かと思うと、遠くから形容のできないたまらなくいやな臭気がする。

教師は教授がすんだのか、今解剖室を出かけるところだ。解剖の教師は恐ろしい顔でもしているかと思って見ると、温厚な君子然とした人であった。