Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
いい学校と悪い学校の区別もなく、大学という名前の魅力に誘われて、大したもののように想像していたところも、いたって無責任なものであった。三年間の夜学を卒えて免状を貰った時も、これで明日から苦しいおもいをしず、銀行がひけさえすれば楽々と手足が延ばせるという安心があったばかりだ。別に学力が増したとも考えられなかった。それでも銀行の方は人一倍真面目につとめ、おとなしい正直な事務員として上役にも目をかけられ、毎年三円五円と昇給して、僅かながらも貯金も出来た。いったいに辛抱のいい方でその間六年間烟草屋の二階にいた。
朝は早く、夕方はきちんと帰り、夜遊などは一度もした事がなかった。月々の雑誌を二三冊とって、始めから終まで丹念に読むのが楽みのひとつで、日曜祭日にも郊外を散歩する位がせきのやまだった。烟草屋のお婆さんは、いかに新吉が真面目で勉強家で身持が正しいかを隣近所に吹聴して廻った。お婆さんには息子が一人あるのだが、或保険会社の台湾支部に勤めていた。孫の顔も見られない寂しさから、新吉を我子の様に可愛がった。新吉に妻を世話したのもお婆さんだった。
おときはお婆さんの念仏友達の、近所の菓子屋の隠居の遠縁の者の娘だった。