Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
三
「僕は、岡部のところに見舞に行って来るぜ。」
丁度松林の下の坂の上口まで来た時、一郎は思い決して澤に云った。
「およしなさい。遠走りすると危のう御座いますよ。後でじいやが行って来ますから。」
そう云って止めたけれど、一郎の心は既に駆出していた。
「大丈夫だ。直ぐ帰って来る。」
いきなり両手に持っていたいろんな物をじいやに押つけると、くるりと背中を見せて、正式に練習の積んだ姿勢で逸散にかけ出した。
三
土に敷いた蓙の上に、甲子と乙子を取囲んで、澤と養子とばあやと女中達は、変災の話から、お互の無事を祝い合い、又この先どうなるかを心配して、同じような言葉を幾度となく繰返していた。じいやは食料を探しに行って、なかなか帰って来なかった。
地震は間断なくやって来た。そのたびごとに姉妹は抱合って泣いた。東の方の火事は停車場の方に燃えて行ったが、西の方の火の手は段々迫って来て、黒い烟は松林にもかかって来た。澤と養子は、万一この山が燃えるような事があったら、もう逃げ道はあるまいと、心々に思っていた。
養子は着物を短く端折って、膝から下をむき出しに日に曝していた。徒歩競走の選手だっただけあって、女にしては長く、生れつき色の白い滑な皮膚に薄青く静脈の透いて見える二本の足は、澤の目の前に艶めかしく並んでいた。