Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
九月一日
一
一
八月三十一日の夕方、朔日から学校の始まるちいさい子供達を連れて、主人夫婦は東京に帰る事になり、由井ヶ浜の曲淵の別荘には、九人の人数が残る事になった。長男の一郎と、長女の甲子と、次女の乙子と、夫人の里の遠縁の者の娘で甲子や乙子の世話をする養子と、一郎の同級生の澤と、女中の延と鉄と、別荘番のじいやとばあやがいた。外には英国種のポインタアの年をとってよぼよぼしているのがいた。
行儀のいい事を何よりも好む、神経質で口やかましい主人がいなくなったので、いい合せたようにみんなの心持は愉快に自由に放縦になった。停車場へ送って行った帰りに、一郎は外の者に別れて、一の鳥居の側にいる岡部の兄妹を誘って、ホテルに出かけた。夏中そこの舞踏場で、一郎の連中は、亜米利加の女や日本の令嬢達と踊ったが、今はもう客も少なく、比律賓から夏場の稼ぎに来ていた楽手達も、小金をためて帰国してしまって、涼しい風の来る広い板の間に並べた卓について、飲料をとる人影もなかった。それでも一郎は楽しかった。目の前に明るい顔をしている友達の妹の心を、この頃になって、漸くしっかりと捉えてしまった確信があった。