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Japanische Klassiker mit Furigana

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いさん

銀座復興 他三篇

水上 滝太郎

Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

いずれは別に一軒構える事になるかも知れないが、当分の間お婆さんと一緒に住むという事で、新吉夫婦はお婆さんのいやな顔を見ずに引越す事が出来るようになった。

いざ探すとなると、貸家も思うようには見つからなかった。新聞の広告欄を見たり、周旋屋の前に貼出てある掲示に足をとどめたり、日曜には二人であてもなく山の手を歩いたりしたが、結局銀行の同僚が、白金の寺の離家があいていると教えてくれたので、夫婦で行って見てきめてしまった。

御寺は高台の崖に臨んだところにあった。古川をさしはさむ町々を見下し、雑木の多い麻布台と向あっていた。たいして大きな寺ではなかったが、庭は広く、貸家の目的で建てた離家は、六畳と四畳半と三畳というささやかなもので、普請も粗末だったが、日当も風通もよく、樹木や草花の夥しく植てあるのを我ものにして、夫婦二人きりの住居にはこの上もなく思われた。今までいた飯倉の烟草屋の二階では、障子をあけると目の下の神谷町から西久保へかけて亜鉛葺の屋根の照返しが強く、息の詰るおもいをしたのに比べると、籠から逃げた小鳥の気持だった。他人まぜずの朝夕を迎えて、二人はほんとの夫婦の情愛を初めて知った。