Japanische Klassiker mit Furigana
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いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
」
「あれなら知ってるわ。ぎんなんの樹でしょう。」
「そんなら本堂の前のは。」
「さるすべり。」
「なかなか知ってるじゃないか。それではあすこに見える一番背の高いのは。」
「ああ。あの沢山鳥の来る樹ですね。わからないわ。」
「榎さ。」
すっかり夜になって、こおろぎの声のしげくなるまで、あきずに植物や虫や鳥の話をした。
新吉は、殆んど何も知らないと云ってもいいおときに対して、自分の知識の豊富なのが嬉しかった。おときにしても、何を訊いても知っている新吉が、たよりがあって嬉しかった。
それがきっかけになって、新吉はいろいろの樹や草や鳥や虫の名を、おときに教えるのが楽みのひとつになった。寺の地面うちだけでも、松、杉、楓、銀杏などの外に、椎、樫、榎、椋、橡、朴、槐などの大木にまじって、桜、梅、桃、李、ゆすらうめ、栗、枇杷、柿などの、季節季節の花樹や果樹があった。草花には萩、桔梗、菊、芒、鶏頭などの秋のものの外に西洋種も多く、今はサルビヤが真紅に咲きほこっていた。
榎の高い梢には鵯が群って来た。銀杏のてっぺんで百舌の高啼く日もあった。竹むらにからまる烏瓜をつつきに来る鴉、縁側の上まで寄って来る雀、庭木の細かい枝をくぐる鶸や四十雀の姿も目に止った。