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Japanische Klassiker mit Furigana

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いさん

銀座復興 他三篇

水上 滝太郎

Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme

Aozora Bunko

一郎は蓙の上にうつぶせに身を倒したきり、暫時は動かなかった。

「まあ、ごきょうだい共。」

養子が僅かにこれだけ云ったばかりで、みんな暗い心持になった。甲子と乙子がすすり上げて泣き出した。

横浜の貿易商の子で、当世風の派手好の兄妹を、養子は平生好きでなかった。一郎がみっともない程翠子の歓心を得ようとしているのなんか、腹立たしくも思われたが、無慙に死んでしまったのかと思うと、いきいきした表情を持っていた翠子の姿が、いたましく浮んで来た。おもわず涙ぐんだ目を伏せると、長く延ばした自分の脚に、今日の最後の薄日がさしていたが、その擦り傷の血の滲んだ所に二疋の蠅が止まっているのを見た。そっと手で払ったが又やって来た。ちいさないきものに対して、養子はむしろ親しい心持を起して、脚を擦り合せたり、翅を振ったりしている微妙な運動を見ていたが、今度は追いもしなかったのに、ふと一疋が飛んだと思うと、もう一疋の背中に下りた。くるくると二三度もつれあったと思うと、完全につるんだ。養子はふと、澤の視線が自分の足に落ちているのに気がついて、顔があかくなった。

澤も気が付いて赤面した。