Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いさん
銀座復興 他三篇
水上 滝太郎
Lesen Sie 銀座復興 他三篇 (いさん) von 水上 滝太郎 (みなかみたきたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.579 Zeichen · 82 Bildschirme
ざんにんこくはく、因業は勿論です。おききになって御承知でしょうが、井原五郎右衛門というのが戸籍面の名前でしたが、誰一人として井原などと呼ぶ者はありませんでした。鬼五郎鬼五郎といって罵りました。そんな事に頓着なく、何の道楽も特別のぜいたくもしず、ただ金をためたのです。その一方には、私の父に金を借りたばかりに、娘を女郎に売った奴もあれば、首をくくって死んだ奴もあります。いいえ、ほんとですとも。冬の寒い暁方でした。うす汚ないじじいが、宅の玄関先に棒鱈のようにぶら下っているのを、五歳になったばかりの私も、人々のうしろからのぞいて見ました。どうした事情かよくはわからなかったけれど、我家へ面あてに死んだ人間だと直感して、ひどく面憎く思いました。だが、私の知らない犠牲者が幾人あったか、恐らく私の父とても知らなかったでしょう。父は、世間から悪くいわれ、人まじわりが出来なくなると、一層金を大事にし、その結果がどうあろうと顧みる事はしなかったのです。たった一人児の私さえ、父のためた金の犠牲として、一生を塀の中で暮らす事になりました。私は子供の時から、家の外の人間はすべて自分を憎んでいる敵だと思っていました。