Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
みんなにもそういっとく――」
「いやだあ。いっちゃあいやっ。」
まるでその声を聞きつけでもしたように安江が顔を出し、
「どうしたい? また、聞かれちゃ都合のわるいことしたんでしょ。」
きのうからつづく半徹夜のつかれは目の下をくろずませているが、きげんは悪くない顔つきだった。しかし音枝も夏樹もすぐには返答ができないでいる。
「兵六さんは?」
「帰ったわ。」
やっと音枝は対抗の姿勢をととのえた。
「あっさり帰ったのね、今日は。」
「あっさりでも、なかったんだけど。」
「ふーん。また、『手元が苦しいて』かい。」
そういってはわずかながらの金と米や野菜まで持ってゆくのがこのごろの兵六さんの習慣みたいになっているのを安江はいったのだ。音枝はその母の顔はみずに、
「夏樹に聞いてください。夏樹は気前よく貯金を全部出して、あげたんですからね。」
「なんだって?」
安江のけんまくをみると、夏樹は急に身をひるがえし、
「おかあちゃんがおこるう。」
泣きながらおもてへとび出していった。音枝がかいつまんで話すと、安江はちぇっ! と舌うちをして部屋へかえした。今はそれにかかわってはいられないのだ。