Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
「なにがだってさ。なんでわたしがねずに働いてまで、兵六さんの責任を背負ってあげなくちゃならないんかね。しっかりしなさい。ほんとに、そろいもそろって――」
泣き出す音枝をその上にもにらまえて、
「夏樹は帰ってきても、中へ入れちゃあだめだよ。かぎかけて、夜どおし外に立たせとくといい。」
どなりつけて部屋へもどりはしたものの、時が立つにつれ、安江は全身をアンテナにしていた。新聞でみた小学生の自殺事件などがことさらに思い出されてくる。音枝はまたさがしにいったらしい。
――夏樹ちゃーん……夏樹ちゃーん……
ほそい、しかしよく通るかなしげな声が裏の森の方からきこえてくる。断続してひびいてくるその声は泣いている「母」の声であった。安江はふと、二十数年も前のある夏の夕を思い出していた。近くの氷川さまのお祭りにいったきり、一しょに出かけたつれがもどってもまだ帰ってこぬ音枝を案じてさがしまわった自分の姿。帰る途中で出あったよそのおじさんについていったと聞いて、のぼせあがった安江は、人なみをかきわけながら、ちょうど今の音枝のようにあたりかまわず叫んだのである。
――音枝ちゃーん……音枝ちゃーん……