Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
円均一……
「おじさん、はみがきちょうだい。それとたわし二つね。」
娘らしい若い女が第一客だった。すると続いて三人づれの奥さんが申し合したようによってきて、
「ね、ミルクパンも十円? あら、こっちは六十円均一なの。」
「道理で、安すぎると思ったわ。六十円ならちっとも安くないわよ。」
すると雑貨屋はもみ手をしながら、
「奥さん、市場のかな物やでみてきてくださいよ。六十五円ですよ。」
笑うと犬歯がぬけている。
「わたし、スリッパもらうわ。安いわよこれ。げたやさんじゃあ一番安くて八十五円ですからね。」
「わたしは洋服ブラシいただくわ。あと四十円でコップ四つね。ほんとに安いわ。」
まるでサクラのように安い安いといいながら買ってゆく奥さんに、雑貨屋は如才なく、
「はい、毎度ありがとうございます。気は心、二円おまけいたします。」
一時間近くもそこで商ったろうか、そろそろ人足も少なくなったころ、雑貨屋ははじめて兵六さんに気がついたような様子で近よってき、
「ごめんなすって。」
と、ならんで腰かけ、ポケットから新生をとり出した。
兵六さんは時のたつのも忘れはてて、その雑貨屋の商いぶりを始終感心してみていた。