Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
見ぬかれた――と感じたからだ。白衣の女医は職業的に浜子の手首をにぎりながら、
「いつでしたの?」
その、複雑な質問に浜子は思わずまっかになった。
抗がうことのできぬ権威の前に立たされたような気持で、だまっていた。神妙らしくしているほか、手も足も出ない立場なのだ。
「どうしました。」
「…………」
どうもこうもない。わけはさっき、看護婦をとおしていっているではないかとばかりに、浜子はしばらくだまっていたが、それでは事が運ばないとさとって、
「人工中絶って、申しましたんですけど。」
それを聞くと、女医のぬれたような口もとに微笑がわき、目に光りがましたように思えた。浜子は思わずうつむき、
「おねがい、いたします。」
不覚にもぽろっと涙がこぼれた。
「それはわかってますよ。でも、理由は?」
「あの、困るんです。」
「生活が?」
「はい。」
それでかたづくものならとほっとする浜子に、
「だんなさまは、ご承知?」
「…………」
「失礼だけど、あなた、結婚しないで子供作ったんじゃないの?」
「…………」
「そうなのね。どこで、どうして?」
やさしい口調ながらそれは、いちいち浜子の心を針でつき、かつてないはじを感じさせた。