Japanische Klassiker mit Furigana
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あおべかにっき
青べか日記
山本 周五郎
Lesen Sie 青べか日記 (あおべかにっき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.334 Zeichen · 76 Bildschirme
)(一〇、六)
終日雨だった。ひどく具合が悪い。扁桃腺が腫れて喉が痛む。午食にてんぷらで酒を呑んだのが悪いらしい。ずっと寝た。午後には暴風雨になった。北風でひどく寒かった。夜に入ると南風になりまた妙に暑苦しい。厭な天候だ。下の家婦が砂糖湯を造って呉れた。狂言「鬼ヶ峠」を書きかけたがだめ。大森のお静と其の周囲をモティヴとした小説「裸婦」も構想が成った。余は肉欲のどん底を描いてみようと思う。その他神戸時代の(殊に中居天声を主とした)小説「城崎まで」も物になりそうだ。為事がしたい、早く東京へ帰ってやろう。躰が良くなって呉れたら。また明日から当分社の四階で寝るのだ、ばかな話だ。静子よ私の眠りを護ってお呉れ。(一〇、七)
終日豪雨であった。帰途船に乗ると同時に暴風、航海は大変に冒険的であった。浦安では海嘯が来ると云って気色ばんでいる。併しもう潮は退き始めたのだから大丈夫らしい。若し来れば此の次の満潮、即ち夜半頃である。嗽は大分よくなった。でも未だ充分気を付けねばならぬ、今夜は玉子酒でも飲んで寝るとしよう。無事な眠りがあるように静子よ私を護ってお呉れ。(一〇、八)