Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あおべかにっき

青べか日記

山本 周五郎

Lesen Sie 青べか日記 (あおべかにっき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.334 Zeichen · 76 Bildschirme

Aozora Bunko

認められ初めた、

い・しは「創作月刊」誌に

月々作品を公にしている、

そして私は、今十三銭の銭を懐ろに

玄米飯を日に一度喰べ、

野草を煮て食べ乍ら、

不相変の独りで、偉がって

金にならぬ原稿を書いている

父は慢性神経痛

弟は重症の脚気だ

私には已に売る可き本もない、

木挽町では無論金を貸さない、

そして私自身は

金にならぬ原稿を書いている、

自分の為事の価値を

疑ってみるには

私は余りに真剣な為事をしている、

金が欲しい

食える丈の金欲しい、(二五八九、四、一七)

心が重い。元気がない。雨が降っている。一日寒かった。

十三銭ある中から八銭で揚物を買って五銭で銭湯へ入った。今は無一文だ。腹が減って耐らぬから雨の中を高梨の家へ金を借りに行ったら、もう寝ていた。まるで紙のように圧し拉がれた頼りない気持だ。特にこのさあさあと静かな、肌寒い雨の音はいけない。希望も何もない。病んでいる弟からの手紙に返事を出す金もない。寝よう。それより外にはどうすることも出来はしない。「裸婦」推敲を始めてみたが、まるでブリキ細工でもするようで、些しも心に触れない。唯騒々しく、浮ついた、厭な気持しかない。やめる。