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Japanische Klassiker mit Furigana

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おんぱのさつじん

音波の殺人

野村 胡堂

Lesen Sie 音波の殺人 (おんぱのさつじん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.399 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

同棲五年の後二人は、あまりにも、違い過ぎた人生観と、生活様式の調和を見出し兼ねて、二年ばかり前から、公然と別居しました。その提議は若菜の方から出たには相違ありませんが、新聞に現われたところでは、お互の学問と芸術を活かす為に、合意の別居を試み、二年か三年の後、離婚か同棲か、永久に別れるか、覆水を盆に返すか、何方かに決定するという約束だったのです。

長太郎博士は二丁ばかり離れた小高い丘の上の研究室に籠って、それっ切り顔を見せませんでした。たった一人の婆やを使って、其処から、世界を驚かすような大発明を提げて出る迄、人に顔を見せないだろうと言われて居たのです。いや少くとも、長島長太郎自身は、絶大な自信を持ってそう言って居たのでした。

長島博士の隠遁的な生活に比べて、若菜の生活は、益々派手に浮ついて行きました、レコード会社から入る年額数十万円という金は、女一人の生活を贅沢な奔放な、常軌もたしなみも踏み破らせるに充分だったのです。

伴奏のピアノを弾いている藤井薫は、有名な鳥子夫人があるにも拘らず、若菜のアミであり、仕事の上の――芸術上のとは言えませんが、兎に角――協同者であり、ちょいと良い男であり、そしてかなり不道徳な印象を与える男でもありました。