Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
呼んでくるとかぬけだして、彼にはオデン屋の安酒をあてがって二時間ほど遊んでくる。しょっちゅう男が変っているが事情に全然変化のないのは庄吉で、ちかごろでは卑屈になって、アラ、そう、忘れた、先生、と二人の男女が立ち上ると、皆まできかずエヘヘ行ってらっしゃいなどと、あさましい。そのあさましさは骨身に徹して彼には分るが、浮気女の豊艶な魔力におさえられて一言二言うまいことを言われるとグニャグニャ相好をくずすだけが能だという、思えばかえすがえすもあさましい限りであった。こんなことは女房に言えた義理ではないから、いかにも彼が大もてで、マダム意中の人の如くに威張りかえっているけれども、女房よゆるせ、そぞろ悲しく、ここが芸術の有難さだと、わが本性に根の一つもない夢幻の物語に浮身をやつし、作中人物になりすまし、朗吟の果には涙をながして自分一人感動している。女房にこれぐらい馬鹿馬鹿しく見えるものはない。彼女は亭主の小説などもはや三文の値もつけられない。ロクデナシメ、覚えていやがれ、と失踪してしまった。
然し彼が柄にもなくマダムに熱をあげるのは恋路のせい浮気のせいでなく、むしろ文学に行きづまったためだ。