Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
七
この女が美しいのは淫蕩のせいだ。すべてが気まぐれな美しさだった。
然し、女は自分の淫蕩を怖れてもいた。それに比べれば、私は私の淫蕩を怖れてはいなかった。ただ、私は、女ほど、実際の淫蕩に耽らなかっただけのことだ。
「私は悪い女ね」
「そう思っているのか」
「よい女になりたいのよ」
「よい女とは、どういう女のことだえ」
女の顔に怒りが走った。そして、泣きそうになった。
「あなたはどう思っているのよ。私が憎いの? 私と別れるつもり? そして、あたりまえの奥さんを貰いたいのでしょう」
「君自身は、どうなんだ」
「あなたのことを、おっしゃいよ」
「僕は、あたりまえの奥さんを貰いたいとは思っていない。それだけだ」
「うそつき」
私にとって、問題は、別のところにあった。私はただ、この女の肉体に、みれんがあるのだ。それだけだった。
七
私は、どうして女が私から離れないかを知っていた。外の男は私のようにともかく女の浮気を許して平然としていないからだ。又、その上に、私ほど深く、女の肉体を愛する男もなかったからだ。
私は、肉体の快感を知らない女の肉体に秘密の喜びを感じている私の魂が、不具ではないかと疑わねばならなかった。