Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
この男が亭主だということは私以外の客は知らない。私は女に誘われても泊らないので亭主は私に好意を寄せて打ち開けて話し、女も私には隠さず、あのバカ(女は男をそうよんだ)ヤキモチも焼かない代りに食いついてエモリみたいに離れないのよ、と言った。私と男二人だけで外に客のない時は、今晩泊めろ、泊めてやらない、ネチネチやりだし、男が暴力的になると女が一そう暴力的にバカヤロー行ってくれ、水をひっかける、と言いも終らず皿一杯の水をひっかけ、このヤロー、男がいきなり女の横ッ面をひっぱたく、女が下のくぐりをあけて這いだしてきて武者ぶりつき椅子をふりあげて力まかせに男に投げつけるのだ。女は殺気立つと気違いだった。ガラスは割れる、徳利ははねとぶ。男はあきらめて口笛を吹いて帰って行く。好色多淫、野犬の如くであるが、亭主にだけは妙に意地をはるのである。
男は立派な体格で、苦味走った好男子で、汚い女にくらべれば比較にならず、客のなかでこの男ほど若くて好い男は見当らぬのだから笑わせる。天性の怠け者で、働く代りに女を食い物にする魂の低さが彼を卑しくしていた。その卑しさは女にだけは良く分り、又、事情を知る私にも分るが、ほかの人には分らない。