Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
然し、私も怒っていた。起き上ると、私は言った。
「なぜ昨日の出来事のようなときに君は横から飛びだしてきて僕に帰ろうと命令するのだ。君は僕を縛ることはできないのだ。僕の生活には君の関係していない部分がある。たとえば昨日の出来事などは君には無関係な出来事だ。あの場合君に許されている特権は僕の留守の部屋へ勝手に上りこんで僕の帰りを待つことができるというだけだ。君が偶然あの場所を通りかかったということによって僕の行為に掣肘を加える何の権力も生れはしない。君と僕とのつながりには、つながった部分以上に二人の自由を縛りあう何の特権も有り得ないのだ」
女は極度に強情であったが、他にさしせまった目的があるときは、そのために一時を忍ぶ方法を心得ていた。彼女は否応なしに私を連れだして汽車に乗せてしまい、その汽車が一時間も走って麦畑の外に何も見えないようなところへさしかかってから
「自由を束縛してはいけないたって、女房ですもの、当然だわ」
もはや私は答えなかった。私が女を所有したことがいけないのだ。然し、それよりも、もっと切ないことがある。それは私が、私自身を何一つ書き残していない、ということだった。