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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

男に裸体を見せることを羞しがらず、腕や腹や股に墨筆で絵を書かせてキャアキャアよろこび、だからむしろ心をそそる色情は稀薄であった。マネキンになりたいけれども、シャンじゃないからダメなんだ、とこぼしていたが、私はそのとき、なるほどこれは天来のマネキンとでもいうのだろうなと思ったほど、常に動きが、そして言葉が、生き生きとしていた。あれは、どこの宿であったか。もう旅の終りで、あの日は沼津で映画だか芝居だか見て、私はそれを見ながら二合瓶をラッパのみにして、いくらか酔っていたのだが、それから長岡だかその隣りの温泉だかへ泊ったときであったと思う。女はいくらかシンミリして、

「ねえ、まだ、東京へ帰るのは厭だな。もう一週間ばかり、つきあわない。私、このへんの酒場で女給になって、稼ぐから」

「チップで宿銭が払えるものか」

「ああ、そうか」女はひどくガッカリした。もとより、それは気まぐれだった。気まぐれ千万な女なのだ。私を愛しているせいなどでは毛頭ない。然し、気まぐれながら、いくらかシンミリしているので、それが珍らしいことだったから、私は今も何か侘しさを思いだす。私はその後、よく旅先の宿屋の部屋の孤愁の中で、このときの女のことを思いだしたものだった。