Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
尤も私は日本映画社というところのショクタクで、目下ショクタクという漢字を忘れて思いだせないショクタクだから、お分りであろう。一週間に一度顔をだしてその週のニュース映画とほかに面白そうなのを見せてもらって、それから専務と会って話を十五分ぐらいしてくればよいので、そのうちに専務もうるさがって会わなくともいいような素振りだから、こっちもそれを幸に、一ヶ月に一度、月給だけを貰いに行くだけになってしまった。尤も、脚本を三ツ書いた。一つも映画にはならなかった。三ツ目の「黄河」というのは無茶なので、この脚本をたのまれたのは昭和十九年の暮で、もう日本が負けることはハッキリしており支那の黄河あたりをカメラをぶらさげて悠長に歩くことなど出来なくなるのは分りきっているのに、脚本を書けと言う。思うに専務は私の立場を気の毒がったのだろうと思う。何もせず、会社へも出ず、月給を貰うのはつらい思いであろうと察して、ここに大脚本をたのんだ次第に相違なく、小脚本ではすぐ出来上って一々面倒だからという思いやりであったに相違ない。専務と私には多少私事の関係があるのだが、それは省くことにしよう。