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Japanische Klassiker mit Furigana

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いずこへ

風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇

坂口 安吾

Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme

Aozora Bunko

★

私はあの夜更にスタンドを追いだされて以来、その店へ酒を飲みに行かなかった。そのころは十銭スタンドの隆盛時代で、すこし歩くつもりならどんな夜更の飲酒にも困ることはなかったのだ。夜明までやっている屋台のおでん屋も常にあった。もっとも、この土地にはヨタモノが多く、そのために知らない店へ行くことが不安であったが、私はもはやそれも気にかけていなかった。

ある朝、私はその日のことを奇妙に歴々と天候まで覚えている。朝といっても十時半、十一時に近い頃であった。うららかな昼だった。私は都心へ用たしに出かけるため京浜電車の停留場へ急ぐ途中スタンドの前を通ったのだが、私はその日に限って、なにがしかまとまった金をふところに持っていた。ちょうどスタンドの女が起きて店の掃除を終えたところであった。ガラス戸が開け放されていたので、店内の女は私を認めて追っかけてきた。

「ちょっと。どうしたのよ。あなた、怒ったの?」

「やあ、おはよう」

「あの晩はすみませんでしたわ。私、のぼせると、わけが分らなくなるのよ。又、飲みにきてちょうだいね」

「今、飲もう」

私はとっさに決意した。