Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
そういう太虚の状態から、人はたぶん色々の自分の心を組み立て得、意志し得る状態であったと思う。私は然し堕ちて行く快感をふと選びそしてそれに身をまかせた。私はこの日の一切の行為のうちで、この瞬間の私が一番作為的であり、卑劣であったと思っている。なぜなら、私の選んだことは、私の意志であるよりも、ひとつの通俗の型であった。私はそれに身をまかせた。そして何か快感の中にいるような亢奮を感じた。
私は卓の下のくぐりをあけて犬のように這入ろうとした。女は立上って戸を押えようとしたが、私の行動が早かったので、私はなんなく内側へ這入った。けれども女を押えようとするうちに、女はもうすりぬけて、あべこべに外側へくぐり出ていた。両方の位置が変って向き直った時には私はさすがにてれかくしに苦笑せずにいられなかった。
「泊りに行こうよ」
と私は笑いながらも、しつこく言いつづけた。
「商売の女のところへ行きな」
と女の笑顔は益々太々しかった。
「昼ひなか、だらしがないね。私はしつこいことはキライさ」
と女は吐きだすように言った。
私の頭には「商売の女のところへ」という言葉が強くからみついていた。