Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
僕のやり方が遥か無難であったのだ。
けれども、こういう思い出も今となってはただなつかしいばかりである。貧乏の苦、恋の苦、うしとみし世ぞ今はという昔の和歌の通りである。
ところがここにただ一つ、明るさ、なつかしさの伴わぬのが、芥川の書斎ですごした青春多感の年月であった。あの頃は貧乏の苦もなかった。恋情に痩せる思いをしたということもない。希望と若さに溢れ、怖れや妥協にまみれることも尠く闊歩していたではないか。ただ葛巻の正論には最も参った。表面に弱身をみせぬ僕であるから内心最も圧倒されていたのだけれども、それは単に理窟の上の話であり、葛巻の芸術に圧倒されたわけでもなければ、わが芸術に自信を失う、絶望した、ということと全然意味が違っている。この時期は、まさしく僕の若さの時、希望の時、伸びようとする力だけの時期だった。
けれども思えば、この時期のあの姿、あの部屋、あの道、あの言葉、なぜか思いだす全てに暗さばかりがつきまとうてくる。まるで、若さは暗い、というかのように。事実、或いは青春は暗いものであるかも知れぬ。青春には病的自体も健康であり、暗さ自体健全なのだ。