Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
要するに長島は、僕という蕪雑な男はそういう風な困り方をする男で、死の家の暗さなどという妙なものをデッチあげて独りで参ってよろこんでいる、要するに一つのポーズだ。尤もフロイド風に分析すれば持って廻った底の方に謎を解く鍵もあろうけれども、ポーズの方が重要なのさ、と思いこんでいたかも知れぬ。
僕自身僕のポーズに眩惑される傾向もたしかにあるが、正しく敬虔なる心に於て、あの家は暗い家だと僕はやっぱり判定する。笑うなかれ。少女の祈りの如き幼い心が今なお僕の心に少しく宿り、その言葉が、あの家は暗い家だと言っている。葛巻は暗くない。芥川家は暗くない。住む人々も暗くない。婆さんに跫音がないよなどとはまこと無礼なる悪表現で僕の無躾なポーズのせいに他ならぬ。要はあの時期が暗いのだ。
少年の希望のなんと暗くあることよ。貧乏の苦も、恋の苦も知らず、多くの汚れを知らず、ただ人生の重さだけを嗅ぎ当てている。希望に燃え、虚名にあこがれ、成功を追いながら、死の正しい意味を知る者はただ青春のみ。最も希望のない時期だ。そういうことも言えると思う。
そういう時期の一日、暮方駿河台下の道を一人歩いていると、レンコートの青年によびとめられた。