Japanische Klassiker mit Furigana
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いずこへ
風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇
Lesen Sie 風と光と二十の私と・いずこへ 他十六篇 (いずこへ) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 119.879 Zeichen · 242 Bildschirme
私が取手という小さな町に住んでいたとき、私の顔の半分が腫れ、ポツポツと原因不明の膿みの玉が一銭貨幣ぐらいの中に点在し、尤も痛みはないのである。ちょうど中村地平と真杉静枝が遊びにきて、そのとき真杉静枝が、蜘蛛が巣をかけたんじゃないかしら、と言ったので、私は歴々と思いだした。まさしく蜘蛛が巣をかけたのである。私は深夜にふと目がさめて、天井と私の顔にはられた蜘蛛の巣を払いのけたのであった。私は今でも不思議に思っているのであるが、真杉静枝はなぜ蜘蛛の巣を直覚したのだろう? こんなことを考えつくのは感嘆すべきことであるよりも、凡そ馬鹿馬鹿しいことではないか。
新しい蜘蛛の巣は綺麗なものだ。古い蜘蛛の巣はきたなく厭らしく蜘蛛の貪慾が不潔に見えるが、新しい蜘蛛の巣は蜘蛛の貪慾まで清潔に見え、私はその中で身をしばられてみたいと思ったりする。新鮮な蜘蛛の巣のような妖婦を私は好きであるが、そんな人には私はまだ会ったことがない。日本にポピュラーな妖婦の型は古い蜘蛛の巣の主人が主で、弱さも強さも肉慾的であり、私は本当の妖婦は肉慾的ではないように思う。小説を書く女の人に本当の妖婦はいない。