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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

折から烈しく降る雪は、彼の小さい足跡を直ちに埋め消して、人には鳥渡判らぬのであった。

「この雪の降るのに何を騒いでいるんだろうねえ。」

お葉は独語を云いながら裏庭の雨戸を明けた。柳屋の客も女も、この騒ぎを聞附けて、何れも表へ見物に出たが、お葉は「何の、詰らない。」と云う風で、先刻から一人残っていたのである。彼女は大分酔っていた。

雪風に熱い頬を吹かせながら、お葉は快心地に庭前を眺めていると、松の樹の下に何だか白い物の蹲踞んでいるのを不図見付けた。どうやら人のようである。

「誰だい。そこにいるのは……。」と、お葉は試みに声をかけた。

声の主を早くも其れと知ったのであろう、白い物は勃々と起き上って、縁の前へ忍んで来た。障子を洩るる燈火の光に透して視ると、それは雪だらけの重太郎であった。先刻からの格闘で疲れたと見えて、流石の彼も切なそうに肩で息をしていた。

「まあ、重さん。」

お葉も少しく意外に驚いて、霎時其顔を眺めていた。雪は小歇なく降っていた。

「燐寸を呉れないか。」と、重太郎は低い声で云った。

「燐寸が欲いの。そんなものは幾許でも上げるけれども、一体どうして今頃こんな所へ来たのさ。