Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
ねえ、アンちゃん。あんたは随分芸妓なんぞに可愛がられたことがあるでしょう。
旅人 (冷かに。)ありませんね。
おつや それじゃあカフェー……。
旅人 (やはり冷かに。)いいえ。
おつや 芸妓にも女給さんにも御縁がないの。
旅人 ありません。(重兵衛をさして。)今もこちらに話したんですが、わたしは我ながら哀れな男ですよ。
おつや あんたの御商売は……。
旅人 東京でつまらない商いをしていましたが、それももう止めてしまって……。(我を嘲るように。)まあ、与太者かルンペンだと思ってください。
おつや ルンペンはよかったね。まあ、なんとでも猫をかぶっていらっしゃい。(笑う。)あんたは野暮な人間で、哀れな男で、与太者で、ルンペンで、まことにお羨ましゅうございます。そうして、あんたはどっちへいらっしゃるの。そんな拵えをして山登りでもなさるの。
(旅人は無言で焚火をみつめている。)
重兵衛 これから箱根へ出て、山越しに甲州の方へ行きなさるのだとよ。
おつや あら……。(仰山らしく。)まあ、冒険だわねえ。それにしても、これから夜通しで山越しは、どうかと思うわ。木賃ホテル御一泊のつもりで、今夜はここへお泊りなさいよ。