Japanische Klassiker mit Furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme
筈はない。で、其婦人は如何にも忌々しそうな、悶ったそうな、癪に障ると云うような風情で、身を斜めにして私の方をジロリと睨んだ顔、取立てて美人と賞讃すほどではないが、確に十人並以上の容貌で、誠に品の好い高尚い顔。けれども、その眼と眉の間に一種形容の出来ぬ凄味を帯ていて、所謂る殺気を含んでいると云うのであろう、その凄い怖い眼でジロリと睨まれた一瞬間の怖さ恐しさ、私は思わず気が遠くなって、寝台の上に顔を押付けた。と思う中に、光は忽ち消えて座敷は再び旧の闇、彼の恐しい婦人の姿も共に消えて了った、私は転げるように寝台から飛降りて、盲探りに燧木を探り把って、慌てて座敷の瓦斯に火を点し、室内昼の如くに照させて四辺隈なく穿索したが固より何物を見出そう筈もなく、動悸の波うつ胸を抱えて、私は霎時夢のように佇立んでいたが、この夜中に未だ馴染も薄い番人を呼起すのも如何と、その夜は其のままにして再び寝台へ登ったが、彼の怖しい顔がまだ眼の前に彷彿いて、迚も寝られる筈がない、ただ怖い怖いと思いながら一刻千秋の思で其夜を明した。と、斯ういうと、諸君は定めて臆病な奴だ、弱虫だと御嘲笑なさるだろうが、私も職業であるから此れまでに種々の恐しい図を見た、悪魔の図も見た、鬼の図も見た、併し今夜のような凄い恐しい女の顔に