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Japanische Klassiker mit Furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Lesen Sie 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 130.271 Zeichen · 263 Bildschirme

Aozora Bunko

「が又来たよ、煩さいねえ。」と、お杉は重太郎を顧って「少し焚火をお為よ。」

重太郎は燐寸を有っていた。有合う枯枝や落葉を積んで、手早く燐寸の火を摺付けると、溌々云う音と共に、薄暗い煙が渦巻いてった。つづいて紅い火焔がひらひら動いた。

火の光を見ると、怪しい者共は俄に恐れたらしい。キキと叫んで、早々に窟の奥へ逃げ込んで了った。

「お葉さん、寒いだろう。此方へ来てお当りな。」と、お杉は徐に焚火の傍へ寄った。お葉は岩に腰をかけたままで、返事も為なかった。

「幾らお前が強情を張った所で、一旦ここへ連れて来た以上は、もう帰す気配いはないから、其意で悠々してお在。夜も寒くない様に、毛皮も沢山用意してあるから……。大事の花嫁さんに風邪でも引かせると大変だからね。ははははは。」

焚火はいよいよ燃え上って、其の紅い光は、お杉の尖った顔と、重太郎の丸い顔と、お葉の蒼い顔とを鮮明に照した。

昼も暗い山峡では、今が何時頃だか判らぬ。あなたの峰を吹き過ぐる山風が、さながら遠雷のように響いた。

三人は霎時黙っていた。やがてお杉は矗然と起った。

「お葉さん、何を考えているんだえ。もッと此方へお出でよ。