Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas

Aozora Bunko

冲左衛門は筆を置いて、「では今日はこれまでにして、また明日にでもまいるとしよう」

こう云って、帰り支度をした。

権之丞は冷やかに見ていた。登世も諦めたのだろう、とりひろげた物を片づけ、冲左衛門を渡り廊下の口まで、送りだした。

「おはいりなさい」

戻って来た登世は、こう云って、自分は上座に坐った。それから、権之丞の挨拶を聞きながして、「手紙は見たけれど、あれでは要領がわかりません、いったいお父さまは、どうしろと仰しゃるのですか」

「殿さまは御病気でございます、それでなくとも、江戸の御滞在がながすぎます、一日も早く甘利へお帰りあそばすようにと」

「いいえ、いやです」

「――いや、と仰せられても」

「いやです、帰りません」

「なぜでございます」権之丞はきっと眼をあげた、「三年まえに江戸へおいでなされてから、これだけの人数をお側にとめ置き、巨額な金品を浪費あそばされ、さきごろは、乙女さまをもたってお呼びよせになったまま、お返しなさらぬ」

「花世も江戸へ置きます」

「なんのために」権之丞はたたみかけた、「今日こちらへまいって拝見すれば、このような法外なお住居を建て、武家方などと往来しておいでなさる、いかなる御思案であるか、とんと合点がまいりかねます」