Clásicos japoneses con furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Lee 支那游記 (「しなゆうき」) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 51.859 caracteres · 105 pantallas
見れば薄暗い天井の梁には、一面に鳥籠がぶら下っている。支那人が小鳥を愛する事は、今になって知った次第じゃない。が、こんなに鳥籠を並べて、こんなに鳥の声を闘わせようとは、夢にも考えなかった事実である。これでは鳥の声を愛する所か、まず鼓膜が破れないように、匆々両耳を塞がざるを得ない。私は殆逃げるように、四十起氏を促し立てながら、この金切声に充満した、恐るべき茶館を飛び出した。
しかし小鳥の啼き声は、茶館の中にばかりある訣じゃない。やっとその外へ脱出しても、狭い往来の右左に、ずらりと懸け並べた鳥籠からは、しっきりない囀りが降りかかって来る。尤もこれは閑人どもが、道楽に啼かせているのじゃない。いずれも専門の小鳥屋が、(実を云うと小鳥屋だか、それとも又鳥籠屋だか、どちらだか未だに判然しない。)店を連ねているのである。
「少し待って下さい。鳥を一つ買って来ますから。」
四十起氏は私にそう云ってから、その店の一つにはいって行った。其処をちょいと通りすぎた所に、ペンキ塗りの写真屋が一軒ある。私は四十起氏を待つ間、その飾り窓の正面にある、梅蘭芳の写真を眺めていた。四十起氏の帰りを待っている子供たちの事なぞを考えながら。