Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

Lee それでも私は行く (それでもわたしはいく) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 89.708 caracteres · 181 pantallas

Aozora Bunko

下鴨

一

一寸面白いやろ。あはは……」

その話が終った時、鶴雄はその小さい亀のように、いきなり、

「山吹先生!」

と呼びかけた。

「――この間お願いしました……」

「ああ、家庭教師のこと……?」

顔は美少年のように可愛いいが、頭のてっぺんが少し薄くなっている山吹教授は、その薄くなっている箇所を撫でながら、

「――あることはあるんだが、どうも君は家庭教師になるには美少年すぎるのが一寸心配だね」

「…………」

鶴雄がぼうっと赧くなったのを山吹教授は眼鏡ごしに見ながら、

「下鴨の小郷という家から頼まれているんだが、あそこじゃ出戻り娘がいるんでね。おまけにマダムが綺麗すぎる」

小郷ときいて鶴雄はきいたような名だなと、首をかしげた。

下鴨

一

出町柳の停留所で市電を降りて物憂い、何かけだるそうな足取りで葵橋の上まで来ると、

「ああ、いい風……」

と、小郷宮子は頬を撫でる川風に、うっとりと眼を細めた。

四条から満員の電車に押されながら乗って来て、じっとりと汗ばんだ体に、加茂の流れを吹き渡って来た風は、さすがに気持がよかった。

しかし、ただ気持がよいだけではない。川風も生暖く春めいて、ふと悩ましい。