Clásicos japoneses con furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Lee 三国志(五) (さんごくし) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N1. Toca una palabra para ver el significado.
N1 · avanzado · kanji y kana modernos · 325.249 caracteres · 653 pantallas
あった。
曹仁は、曹操の無事な姿を見ると、うれし泣きに泣いて、
「赤壁の敗戦を聞き、すぐにも駈けつけんかと思いましたが、南郡の城を空けては、後の守りも不安なので、ただご安泰のみを祈っていました」と、曹操が生きて帰ってくれたことだけでも、無上の歓喜として、今はかえって怨むことも知らなかった。
曹操もまた、「今度ばかりは、二度とこの世でそちに会うこともないかと思った」と、語りながら、共に南郡の城へ入って、赤壁以来、三日三夜の疲れをいやし、ようやく、生ける身心地をとり戻した。
戦塵の垢を洗い、暖かい食物をとり、大睡一快をむさぼると曹操は忽然、天を仰いで、
「……ああ。ああ」と、嗚咽せんばかり、涙を垂れて哭いた。
付添う人々は、怪しんで、彼に問うた。
「丞相、どうして、そんなにお哭きになるんです。たとえ赤壁に大敗なされても、この南郡に入るからには、人馬も武器も備わっているし、いつか再挙の日もありましょうに」
すると曹操は、かぶりを振りながら、
「夢に故人を見たのだ。――遼東の遠征に陣没した郭嘉が、もし今日生きていたらと思い出したのだ。予も愚痴をいう年齢になったかと思うと、それも悲しい。