Clásicos japoneses con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lee 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 106.903 caracteres · 213 pantallas
軍閥に睨まれて、軽井沢の山荘に蟄居し、まったく政界より没落していた。
ところが、終戦直前のある日、鉱三崇拝者の山谷某が大阪から山荘を訪れて来て、同行の木文字章三という青年実業家を紹介した。
陽子が茶を運んで行くと、章三は陽子には眼もくれず、ひとりぺらぺらと喋っていた。
「僕は儲けました。これからも儲けます。最近、ある化学的薬品を使えば、酢、醤油、ソース、いや酒までつくれるという簡単な醸造法の特許権を、安く買い取りました。日本もいよいよポツダム宣言で手を打つらしいでンな。そうなったら、大いに今言いました事業で儲けます。あんさんの時代も日本がポツダム宣言で手をあげたら、やって来ますな。政治資金のことなら、一つ僕に心配させて下さい」
鉱三はあっけに取られていたが、やがて終戦になり、政界復帰の機が熟したと見ると、大阪へ電報を打った。
章三は東京の鉱三の寄寓先へ飛んで来て、三百万円の小切手を渡すといきなり言った。
「先生、何か情報ありまへんか。僕のほしいのは早耳と、それから、お嬢さんです」
いつの間に見染めたのか、陽子を妻にくれという章三の言葉は、鉱三を驚かせたが、しかし、小切手を背景にした章三の精悍な顔と、押しの強さは、鉱三の青年時代を想わせて、満更でもなかった。