Clásicos japoneses con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Lee 土曜夫人 (どようふじん) de 織田 作之助 (おださくのすけ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 106.903 caracteres · 213 pantallas
身上相談
一
昔は若い娘が新聞を持って町を歩いている姿は殆んど見られなかったが、最近では夜の町角で佇む若い軽薄な背のずんぐりした娘でも、ハンドバッグと一緒に新聞をかかえている。猫も杓子も読むのだ。しかし、同じ新聞を同じ時にひらいても、一番さきに眼にはいるのが、同じ記事だとは限らず、某侯爵邸の売物の広告が何よりも先にぱッと眼にはいるのは、余ほどの偶然であろう。
しかも、この偶然を陽子、春隆、貴子、貴子の友達、東京行き……などという偶然に重ねてみると、もはや章三にはその売邸が乗竹侯爵邸以外のものであるとは思えず、今日一日の行動がもはや必然的にきまってしまった。そして、その行動がひろがって行くありさまを、描きながら、さりげなく貴子にきいた。
「何時の汽車にするンや」
「急行だから、夜の九時頃でしょう」
「車よんでくれ。飯はいらん」
「あら、もうお帰り!」
「急ぐんや。君の友達によろしく。どうせまた会えるやろ」
章三はにやりとした。
身上相談
一
猫も杓子も新聞を読む。同じ記事を読んでいる。われわれが思っている以上に、猫の関心も杓子の関心もみな似たり寄ったりである。しかしまた、われわれが思っている以上に、猫も杓子も同じ問題に関心を抱いているとは限らないのだ。