Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あおいはらふじんのたいつり

垢石釣游記

佐藤 垢石

Lee 垢石釣游記 (あおいはらふじんのたいつり) de 佐藤 垢石 (さとうこうせき) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 46.298 caracteres · 100 pantallas

Aozora Bunko

早春の山女魚

豊満な肉をおおった青銀色の鱗の底に、正しく並んだ十三個の斑点が薄墨ぼかしの紫を刷いたように、滑らかな肌から泛び出て、その美しさは形容の言葉がない。かがやき透るような円らかな眼、スマートな姿、山女魚は何と清麗な魚であろう。

三月一日から、山女魚釣の解禁となる。

釣には、幾十幾百と種類はあろう。しかし山女魚釣ほど興味が深く、淡雅な環境を持つ釣は他にないと言える。もう、その清快な釣技に親しむ季節が眼の前へ迫って来た。

山女魚は、晩秋から初冬へかけて溪流の砂礫の間に産卵する。そして性の使命を果たし、窶れて、見るかげもなく痩せ細り、肌の色は黝んで肉はやわらかくなり、一種の臭みさえ生れてその当時は釣っても食べられないのである。

ところが、春の雪が斑に消えた跡へ物を育む麗かな遅日が遍くなると、灰色の滑らかな根雪の膚からポタポタと真珠のような露の玉が滴り落ちる。澄み切った溪水の底に蟠踞する巌の下に、一冬を越した可憐な山女魚が、この露の集りの雪解水を迎えると急に元気を回復するのである。山の漁師は、このことを山女魚の眼が覚めたと言っている。この季節には山女魚の食慾が盛んになって、円々と肥り、味品まことに珍賞するに足りる。