Clásicos japoneses con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
妙齢の、それもかなり眼立つ美貌の少女が、駕の屋根の上に乗って、そのまま行進するというのは、いかに天下の大江戸でも、そう例は多くないと思う。
日本橋の上のことで、たちまち往来の人々の眼を集めた。みんな立停って、呆れかえったように、なかには、なにか芸当でも始めるのだ、と誤解した向きもあるらしい。がやがやと騒がしく寄って来る者もあった。
「乙女さま」
和助はうろたえた。
六尺もまごつくばかりであったが、そこへ、登世の駕といっしょに先へいった、柳沢家の侍が二人、慌てて駆け戻って来た。それを見て、和助は観念し、駕をやれ、と六尺をせきたてた。
花世がそう決心したら、じたばたしてもむだである。このうえ侍たちがつまらない小言でも云うと、どんなふうに曲りだすかしれない。花世には柳沢の侍など眼中にないし、むしろ軽侮しているくらいである。
「どうぞ、なにも仰しゃらないで下さい」
駆け戻って来た侍たちに、和助はこう囁いた。
「すぐ飽きますから」
駕は行進を始めた。
往来の左右には人垣ができ、横丁からとびだして来る者もあった。花世は駕の上で、さも涼しげに、小扇で日をよけながら、これらの騒ぎを眺めおろし、ゆうゆうと揺られていった。