Clásicos japoneses con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
こんどの役替えを承知したのは、単に谷町の庇護を避けるためだけでなく、母のそばから離れられる、という点でも好ましかったのである。
御薬園は、もと江戸城内の吹上にあったが、寛永年中に、城外の南北に分けて設けられた。北は高田御薬園といい、南は麻布御薬園といった。のち北は廃止になり、南も小石川の御殿地に移された。当時は典薬頭に属していたが、さきごろ若年寄の支配に変り、御薬園奉行の職制が定って、目黒の駒場に新しい薬園ができた。
半之助は、その駒場の薬園に勤めるのだが、通勤でなく、休日のほかは、小屋に詰める規則である。それは九月になってからのことで、まだ母にも話してはないが、彼には待ちどおしいくらいであった。
――こうして、だんだんと、独り離れてゆく、主馬とさえも。半之助は眼をつむった。
主馬とは誰よりも親しく、お互いに心の隅まで知りあっていた。けれども主馬は変ってきた。彼はもう、人間らしい生きかた、などについて悩んではいないらしい。どうしたら意義のある、充実した生活ができるか、……かつては会うたびに、しんけんに論じあったことが、主馬にはもう問題ではないようだ。