Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas

Aozora Bunko

こう云って、主馬は、ふところから紙入を出し、その中から一枚の小さな紙片を抜いて、そこへ披げた。

「これを見て呉れ」

その紙片には、黒い菱形を三つ集めた、翼をひろげたなにかの鳥のような形の、紋章が描いてあった。

「どこかで見たことがあるな」

半之助は眼を細くした。

「しかし、これがどうしたというんだ」

「正雪の、隠れた女の家から出た、証拠物件の一つなんだが、それには、富士川を遡行する旅次の記と、或る金額の受取の控えとおぼしき書き物があり、それにこの紋章が捺してあったんだ」

「その金額というのは」

「単位があいまいなんだが、どうやら万以上のものらしい、前後二回くらいに分けて渡されたようで、なおまだ幾らでも引出せるようなことが書いてある」

「ああ、そうだ……」

話を聞きながら、紙片の黒い菱形を眺めていた半之助は、こう云って、ふとその紋章を指さした。

「わかったよ、この紋が」

「気がついたかね」

「これは築地の、いつかいった丸茂の家の、釘隠しに付いていた金具と同じだ」

「そのとおりさ」

「それだけじゃない」

半之助は団扇を置いた。

「――というと」

「そのまえにもいちど……」

そういいかけて、半之助はちょっと口ごもった。