Clásicos japoneses con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
半之助は十余年まえ、いちどその包をあけて、それらの手記を見たことがあった。その後、父がどこかへ隠し、自分もすっかり忘れていたのである。彼は感動するほどの、なつかしさにおそわれ、その包も荷物のなかに加えた。
青山主馬は、山村座の茶屋からつれてゆかれた翌日、無事に家へ帰った。
――裁判記録を役所の外まで持ち出した、というお叱りさ。
こう云っていたが、それだけでないことは、想像がついた。やはり反柳沢のごたごた、お互いの威しあいや、騙しあいの一つであろう。そして、主馬自身も、村田平四郎も、少しも動じなかったように、そこには半之助などにわからない、政治的なからくり、があったに相違ない。
――いやな話だ。心配しただけ、よけいに、半之助はうんざりした。
主馬が帰ってから、まもなく、村田がまた旅へ出た。例の植物分布の踏査で、信濃から越後の南部まで、まわるのだという。供を二人つれていったが、別れに来たとき、いつもの静かな口ぶりで、――頼むよ。と云い、じっとこちらの眼を見た。
薬用の苗根や種子を送るから、そのときは頼むという意味だろう、半之助は頷いたが、どうにもいい顔はできなかった。