Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

ja-reading.com

Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

やまびこおとめ

山彦乙女

山本 周五郎

Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas

Aozora Bunko

築地の丸茂は、みどう家の、(おそらく姉にちがいない)彼女の経営するものだったろう。そこに集まる幕府の、柳沢系の閣僚たち。そこで議された問題。柳沢の権勢を保持しようとする動きと、また、その動きを利用して、夢のような、――武田家再興などという、――無謀な、憑かれたような野心と。そして、それに対抗する、甲府侯綱豊を中軸とした、新しい勢力。こういったものが、今まざまざと、集約されて、みえるように思えた。

――波が寄せ、波がかえる。

幾百千年のむかしから、繰り返し、繰り返してきて、今も、これからさきの、幾百千年も、同じように繰り返し、繰り返し……。

――まっぴらだ。

半之助は頭を振った。

――おれはごめんだ。

斜面が断崖につき当った。そこで、初めて彼はふり返った。

空には、いつか雲が切れて、かなり西へまわった月が、眼下の叢林を、おぼろげに照らしていた。そのために却って、松火の光りも見えず、遠くかすかに、人の叫びあう声が、まのびのした、こだまを呼ぶばかりであった。断崖を右へまわると、林をぬけて、若草と岩のごろごろした、もっと急な斜面へ出た。彼はその岩にすがって、なおも上へと、登っていった。