Clásicos japoneses con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
淋しい顔だちの、沈んだ感じの娘で、ほかの女中のように、うるさくないのが気にいり、来ると彼女に用を命ずるようになった。彼としては、それ以上になんの感情ももってはいないし、他の女中たちが、つまらない思わせぶりなようなことを云うのも、むろんこういう場所のおさだまり、にすぎない。
「あっちへゆかないか、またおいそなんぞにからかわれるぞ」
「あたし、御相談したいことが、あるんですけれど」
そう云いかけたが、半之助が黙っていると、思い返したように溜息をつき、「でもこの次にしますわ、どうぞごゆっくり」
こう云って立っていった。
座敷は下に五つ、二階に七つある。芝居の開演ちゅうは、桟敷で飲み食いするから、こちらは稀にしか客がない。座敷の仕切は、夏のことで、襖の代りに荻の簾戸が入れてあり、客のいるときは、白麻を垂れた帳をまわすが、今は二た座敷向うまで、涼しげに透けて見えた。
「おい、夕立が来そうだぜ」
下の裏手で男の声がした。
「いまのうち干し物をとりこんどかねえと、あとでまた騒ぎだぜ」
堀に向った窓から、さっと、冷たい風が、かなり強く吹きこんで来、やがて遠く雷鳴も聞えはじめた。