Clásicos japoneses con furigana
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やまびこおとめ
山彦乙女
山本 周五郎
Lee 山彦乙女 (やまびこおとめ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 126.360 caracteres · 251 pantallas
叔父は例のように笑い顔をしていたが、それはどこかしら硬ばってみえた。
「もちろん土地の者はそんなことはしません、その三日三晩は近よりもしない、近よることは厳重に禁じられているんですが」
「狸がほんとにお囃しをしていたの」
半之助は堪りかねて訊いた。叔父は頷いて、ちょっとまをおいて続けた。
「たしかにね、笛や太鼓の音が聞えるし、がやがやと、なにか大勢で云いあっているのも聞える、はっきりとではなく、高くなったり低くなったり、ときには遠くかすれたりするが、聞えることはまちがいないんです」
叔父はそっと近づいてみた。ちょうど月のある晩で、まだ月は低く、光りも弱かったけれども、その台地はかなりはっきり見ることができた。
しかしなにもいなかった。まわりをかこむ松林は、しんとして枝も動かず、いちめんに草の茂っているその台地は、あふれるような虫の声だけであった。なにものの影も無かった。そして、やはり狸ばやしは、そこで聞えていた。兵庫はこう云って、低い声で、その笛太鼓の音や、かすかな人ごえなどを、まねてみせた。
叔父はまた、甲冑武者の亡霊も見た。それは四月十一日の、深夜のことであるが、甘利谷の山道を、およそ五十人ばかりの行列が通った。