Classiques japonais avec furigana
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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.
あるはいまつのどくはく
ある偃松の独白
中村 清太郎
Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.
N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans
拝がむや涙にゆがむ雪の峰
ぬうっと、背高の老翁が、向うの薄暗い、階段口からせり出す。これが堂守で、半僧半俗の仁ながら、さすが、天女堂の鐘を鳴らして、朝夕の勤行に怠たりなく、いつも汚れた尖り頭巾を禿頭に。捧げた膳を私の前に据えると、舌もつれする風に――ご、ゆる、りと……などと言いながら、熟れたれいしに似た鼻から、垂れさがる鼻汁を、危なくすすり上げて、愛想笑い。六十路の坂を、はるか越えていよう。何か、おどおどした物腰の、眼のわるい、小柄でしなびた老媼の方は、めったに出てこない。この人たちは、いつも大てい、台所でなければ、門口の小部屋で、こたつにもぐっている筈だが、居るか居ないか、てんで分らぬ。揃って無口な、だがまことに実直者。私が来たので、この冬は賑やかだ――と喜んで、まめまめしく世話をしてくれた。膳の上は、定まって、薄い味噌汁に古漬か、でなければ、乾らびて塩っぱい煮豆一と皿。食べても食べなくても、その一点張り。でも私は別だん苦にもせず、時々麓の赤沢の宿から、卵や野菜、そこへ届く母の丹精の小包など、上げさせて、悠々と暮した。当時、第一次大戦のさ中とはいえ、国内は今から思えば、それは呑気なもの。