Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans

Aozora Bunko

黒部川初遡行の追憶

一声の初音こだます深雪不二

始末のつかぬ画面を抱えて私は、季節に追われ、疲れた心身がせめぎ合い、ただおのが力の不足をかこつばかり。物憂い五体を提げ、思い切って私が、この離れ難ない山居に別れを告げたのは、はや四月の初旬。富士をはじめ、四方の山々、破れ宿坊、堂守の老夫婦、本堂の諸知識にも感謝の心をいたし、そぞろ心に下る山路は、一足ずつに春が深く、黄藤の花の陽炎にゆらぐ早川谷は、醸すがような煙霧の底。心の張りも抜けたような私は、ただうつつしもなく、その中にあえぐのであった。この時、堂守の翁から、記念に贈られた、一位の稚木が、いま窓外に仰ぐほどの、その木とは……

(昭和二十二年、春。「山小屋」)

黒部川初遡行の追憶

早いもので、あの黒部本流の初遡行を、木暮理太郎君と試みてから、数えてみると、もう二十年にもなる。思えば心なつかしくもあり、また心苦しくもあるが、もはや細かい事は忘れている。今日思い出の執筆を求められるまでもなく、当時くわしい紀行を「山岳」に書くはずであったが、いろいろな支障で、といっても、主に自分の気が進まなかったのがもとで、そのままになってしまった。