Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

ja-reading.com

Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans

Aozora Bunko

河原に押し出した花崗岩沙の、ふっくりした堆積が、寝床になる。後ろに叢生する大虎杖の林は、そのままで小舎の屋根となる。そこらに算を乱した大小の流木――樹木の舎利骨は、絶好の薪となる。生い下った峯楓の枝が風流な箸に化ける。間近かの谷あいから、助七が笠へ山盛りに採って来たもの――雪割りの独活に至っては、恐らく人間豪奢の極と言いたい。まるでエッセンスの塊りだ。強い仙薬めいた香りが四辺に散乱する。味噌汁に投げ込んで、煮立ったばかりの根茎――青白くての太く、しかも芳脆な――をふくめば、劇しい、生ま生ましい、そしてさわやかな刺戟が全身に伝わって、あおられるような気もちだ。

谷を追うて朝の雪田に踏み入れば、冷やかな霜気を吐く陽炎が全身を引っ包み、高層の霧は絶えず垂れたり騰ったり、時には大粒の水滴を散らしてくる。満目銀灰の天地だ。いよいよ寂寥孤独の境涯に身を置いたことが肯ずかれる。じっと沈んで行くような気分に浸りつつ、白く固い波間に歩を運んでいると、覚えず行くべき谷の中心を離れて、あらぬ方へまぎれこもうとするのに、ふと気づいたりする……

後ろから、声をひそめて私を呼ぶけはいに、反射的にふりかえる。