Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

あるはいまつのどくはく

ある偃松の独白

中村 清太郎

Lisez ある偃松の独白 (あるはいまつのどくはく) de 中村 清太郎 (なかむらせいたろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 132 905 caractères · 262 écrans

Aozora Bunko

そうかと思えば、豪雨が俄かに注いできて、前山のしぶきが宿の軒を叩き、方々の空ら谷まで一斉に、急流や瀑布を現出するのに、本谷の水は一向いつもと変らず、澄んでいる場合もある。これら天象の変化につれて、人の心も明暗昇沈の境を漂漾する。浴客は、絶えず細長い上空を仰いでは、その模様について、なにかと語り合っている。決して挨拶ばかりでなく……

浴客の出盛りは、やはり夏の末から、秋の初めにかけてだ。中でも旧盆の前後など、多い時は三百人ぐらいもいる。薪を運ぶ男、火を焚く女、飯を炊く者、汁を煮る者、崖ぷちの共同炊事場は混み合う。坂道を浴場へ通う人たちも、手ぶらのは少ない。手桶を提げる、鉄瓶をさげる、鍋をさげる、徳利を持つ、洗い物を抱える……みんな、久しぶりに得た休息の、ありあまるような時間と精力で、単純な生活をも、できるだけ豊富にしようとして、楽しげにしゃべり合い、笑い合い、しきりと他愛ないままごとにふけっている。

朝起きると、宿は谷間でありながら、水がわり合い乏しいから、本流まで降りて口をそそぐ。水は思ったほど、冷たくはない。峯の雪には遠く、川の中に温泉の湧くにもよるだろう。